取組紹介

バラで被災地を変える ~スーパー植物を利用した環境修復型農業~
宮城県農業高等学校科学部復興プロジェクトチーム
第4回グッドライフアワード
活動拠点:
宮城県名取市
WEB:
http://miyanou.myswan.ne.jp/

取組の紹介

東日本大震災の津波による震災被害を受け全壊した学校の桜を後世に残すため、保存プロジェクトを立ち上げ新校舎への植樹を目指し活動している。活動は広がり、校内に留まらず鎮魂の思いや記念樹として地域への植樹活動となっている。
 震災後、自然の緑は1割まで減り、沿岸部で始まる水田単作では生態系は益々偏るであろうと専門家より忠告されている。そこで、この地に環境修復型農業が必要だと思い、労力をかけずに6次産業までを視野にいれた環境改善を提案する。持続可能な改善対策に有効な植物の検索では、自生している植物を参考にし、中国から伝わった県内にあるツーリーという実の付く野バラを選択した。適性検査から豊富なVCとポリフェノールの抽出に成功し、営農者からの商品化も決まった。津波地域で農業高校の専門性と柔軟性を発揮し、生業としての農業を成功させてこそ「前進する復興」に繋がると思う。模索している姿を見てもらいたい。

活動のきっかけは?

本校は海から約500mのところにあり東日本大震災で全壊した。しかし、浸水した校庭に咲く桜に希望と勇気を与えられたことから、仮設の校舎に移り、混乱もまだ治まらなかった震災1年後、校内で「復興プロジェクトチーム」を立ち上げ、桜を後世に残し伝え、新校舎への植樹を目指す「桜保存プロジェクト」を始動した。沿岸部でも展開するが、自然の緑の減少に伴い、放棄水田の再整備で将来の生態系のバランスに疑問を呈した。

問題解決のために取り組んだ方法

・ツーリーは栽培例がなく、事前に(2年間)鳥獣による種子の移動や発芽率調べをした。
・廃棄CDや不用な装置を再活用し特殊な風速計を開発した。
・浜に自生する植物と共に栽培試験や環境修復能力検査などを行った。
・実の加工法や栽培法、学校の事などを手作り新聞に載せて、巡回配布した。
・間借りしている学校の圃場でツーリー苗を育て、地域に運んでは配布を続けた。
・各地域でツーリー講習会を開き植栽数の増加に努めた。

今までの成功のポイントは?
  • 地域との絆を育み信頼をつかんだ・・事前の土壌調査などから苗木配布、植栽指導、その後の指導まで細やかな活動を展開。さらに、仮設や地域を巡回訪問し、手作り新聞配布や講習会開催などコミュニティ構築に努めた。
  • 農業高校の異なる学科が一緒に活動・・専門性を生かし、廃棄品を利用し安価な装置の開発などをした。柔軟性に富んだアイディアで試作品づくりや訪問による試食会、などいろいろな切り口で相乗効果を発揮できた。
  • 「ふるさと」を思う強い気持ち・・一部の復興だけが進み、大きく揺れ動く農業や生活環境だが、「復興」という旗印を共通して掲げていること。営農する本校卒業生が地域に多くおり、一丸となって取り組んでいること。
プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

目指すは津波地域におけるこれからの長期にわたる自然環境の課題を農業高校の視点で捉え、礎を築くことである。そのためには、今後、より多くの人がこのスーパー植物の「ツーリー」に興味・関心を持ち環境修復型農業を目指せるよう、普及活動していきたい。そしてひいては被災している国内各地、世界の国々にこの活動が広がり、生業としての農業と環境の修復になればと願っている。

プロフィール

科学部に籍を置く多学科から成る混成チーム。2011年の東日本大震災の1年後に結成。以後、週4回活動のうち1回は仮設校舎から約8km先にある沿岸部に全員の5~10名で通い、住民協力のもと桜やバラを植栽している。これまで4つの市や町に約1500本を植栽している。チームのモットーは“笑顔ℽ。2016年“未来への絆ℽみやぎ防災教育副読本(高等学校)(発行:宮城県教育委員会)に掲載。

実行委員会からのコメント

「震災からの復興」という大きな課題に対して、思いつきではなく、持続可能な地域社会をつくるという観点で、地域と一体になって現実的な緑化・農業再生の手法を検討し、その可能性を科学的に検証し丁寧に実現されています。非常に科学的である一方で、とても心温まる未来感が取組の中にありました。千年一度の震災からこのような取組を実現したことに敬意を表します。