取組紹介

暑熱対策のための移動できる森(可搬式緑化技術)の開発と普及
群馬大学大学院理工学府 / 東京都農新総合研究センター / 群馬県造園緑化協会公共建設部会 / 群馬県森林組合連合会
第5回グッドライフアワード
活動拠点:
群馬県桐生市 ・ 東京都立川市 (実証実験は東京都江東区にて実施)
WEB:
http://www.ene1.me.gunma-u.ac.jp/

取組の紹介

夏季の高温化が進むなかで、オリンピックやパラリンピックなどの夏季イベントでは、屋外の熱中症対策が重要な課題になっています。私たちは屋外に涼しい空間が簡単に作れる「可搬式緑化技術」を開発してきました。これは、ベンチが一体になった移動可能なポットに樹木を植えて木陰をつくり、ミストの蒸発効果を加えて涼しい空間をつくるものです。都市内に小さな森を簡単につくりだせることから、「移動できる森」と名づけました。これまでに都内数か所で実証実験を行い、体感温度を10℃程度下げ、熱中症リスクが低減できることを確認し、車椅子使用者の皆さんの協力も得て、ユニバーサルな設計も進めました。樹木が作る自然な木陰を使わせていただく技術であると同時に、伝統産業である造園業の発展にも寄与でき、さらに森や里山の木が都市に出て都市のお金が山側に戻るような、資金循環のある新しい緑化モデルと考えています。

活動のきっかけは?

近年、ますます夏の高温化が進み、熱中症発症者数も増加しています。2012年の夏に気温が高いことで知られる群馬県館林市で、地域の造園業者と市の協力を頂き、人工的な小さな森をつくる実験を行いました。その結果、涼しい空間(クールスポット)が形成できることを示すことができました。その後2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催決定をきっかけに、本格的な熱中症対策用の可搬式緑化技術の開発を始めました。

問題解決のために取り組んだ方法

可搬式緑化技術は、都市スケールの面的な暑熱対策ではなく、自然の樹木がつくる良質な木陰を必要なところにスポットで簡単に提供できる技術です。設置や撤去が簡単にできることから、都市空間の設計や活用の自由度も上昇します。また一体型のベンチ部分も国内産材(現在は多摩産材)を用いており、造園業だけではなく地域の林業振興にもつながるものです。利用する樹木を島しょ地域のヤシなどにすれば、島しょ地域と都市部の農林業振興にも寄与できると考えられます。さらに夏季以外は造園業者の圃場等で樹木を管理して、いつでも最適な樹木を都市部に提供できるような「森をレンタルする」造園ビジネスとしての展開も考えられます。現在様々な暑熱対策技術が検討されていますが、人工構造物を建設するような技術とは異なり、都市部と近郊部との間の資源と資金の循環がうまく生まれるような新しい緑化モデルとして、本技術を普及させることを目指しています。

プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

「移動できる森」という新しい緑化モデルは、2020年東京オリンピック・パラリンピックでの活用以降も、オリンピックレガシーとして様々な屋外イベントに活用できます。例えば、学校の屋外活動や各種競技会の熱中症対策として期待できます。さらに普及が進めば、伝統産業の一つである造園業の活性化や森林資源の活用にもつながると考えられます。今後はより普及しやすいようなビジネスモデル構築やコストダウンを行う予定です。

プロフィール

・群馬大学大学院理工学府/学生約3000人、教員数約200名、申請者は知能機械創製部門教授、環境流体力学関係の研究教育に従事
・東京都農林総合研究センター/東京都の農業・畜産・林業試験場を統合して設立、東京都の農林振興や緑化事業の研究開発を実施
・群馬県造園緑化協会/県内の造園業者が作る法人で緑化推進活動を実施
・群馬県森林組合連合会/県内にある森林組合を会員とした法人、森林・林業に関する各種事業を推進