取組紹介

英田上山棚田再生プロジェクト
NPO法人 英田上山棚田団
第2回グッドライフアワード
活動拠点:
岡山県美作市
WEB:
http://tanadadan.org/
Facebook:
https://www.facebook.com/tanadadan

取組の紹介

岡山県美作市の上山に広がる慶応年間から築かれた面積100ha、8,300枚の棚田。過疎高齢化により荒廃していたが、2007年から地元住民と都市住民による草刈りと村に伝わる野焼きの復活により、2014年までに14haを再生した。地域に息づく文化や伝統に加え、限界集落から新しい社会を創造するにあたり「独立国」を志し、再生可能エネルギーや地域医療等の拡充等を進め、他の中山間地域や台湾・ミャンマーなど海外との連携も深めている。

活動のきっかけは?

棚田とそれを包括する里山は、商業的観点の効率性は低く、自然の恵みを最大限に利用し、持続的に食料をはじめとした様々なサービスを享受確保するためのものである。この60年で25%の耕作地が放棄され、都市圏へ若年層が出て行った。この歴史的な遺産システムがこれら社会的背景によって衰退し、生物多様性の低下や、8兆円以上と言われるその公益的機能が失われつつあり、これに歯止めをかけるべくこのプロジェクトは始動した。

問題解決のために取り組んだ方法

地域住民とともに、ひたすら草刈りと野焼きで藪や樹林と化した棚田を掃除、棚田を涵養する水路の掃除と整備、その後蕎麦を栽培したのち、水田等耕作地に戻すことを行っている。当初は大阪からの週末通いであったが、現地居住者が増加するにつれ、再生のスピードは加速した。伝統文化では8年ぶりに盆踊りを復活させ、廃屋だった古民家を改修してカフェ兼コミュニティースペースとして再生し、さまざまな各種イベントを行っている。

今までの成功のポイントは?
  • とにかくやってみること
  • 「楽しい事は正しいこと」という信念のもとに何ごとも楽しんでやること
  • SNSによる活動情報の発信。できるだけライブ情報を広め、共感を得ること
プロジェクトが目指している事、今後やりたい事

・再生棚田及び周辺里山における様々な農林産物生産・六次産業化
・棚田を有する諸外国との交流・交易、人材育成、研修
・再生可能エネルギーの自給と持続可能な資源利用
・Ict機器を駆使した営農・営林・自然環境の監視・管理体制の構築と人材育成
・過疎地における新たなライフスタイルの提案
・世界農業遺産登録
・牛耕などかつての里山の暮らしの復活と保養地機能

プロフィール

30年間の会社勤めを終え、退社後協創LLPの立ち上げにかかわり、「英田上山の棚田再生」プロジェクトのメンバーとなる。
活動時には会計・ご飯作りが中心の役割。棚田団の母親的存在になり2011年8月より代表をつとめている。
NPOの代表という重責に自分の楽しみを忘れずみんなとの協力体制のもと2期目の代表をつとめている。

実行委員会からのコメント

過疎・高齢化に悩む地元の人だけでは人手が足りずに成し得なかったことを、外部の人が多く参加することで実現する仕組みは、同様の課題を抱える他の地域にも応用できるもので、高く評価できます。また、棚田の再生に加え、伝統文化の復活を行っている点や、同様の問題を抱える台湾との交流等の国際的な視点を持って取り組んでいる点も評価できます。「上山集楽」という言葉に表現されているように、楽しみながら活動を行うことが取組が成功している要因かと思いますので、そのスタイルを継続しつつ、表彰式の場でも見せていただいた、熱い気持ちを持ち続け、取組をさらに発展されていくことを期待しています。